4.1. eポートフォリオがうまく活用されない理由

eポートフォリオの導入はゴールではなくスタートである

質問「eポートフォリオを導入すれば大学教育は変わりますか?」

回答「それはわかりません.ただ,eポートフォリオは,大学教育が変わるための最善のツールになり得る可能性を秘めています.」

 eポートフォリオ活用は「黎明期」から「発展期」に移っている.これまで「eポートフォリオとは何か」,「eポートフォリオの役割は?」などeポートフォリオを導入する意義や方法が話題の中心であった.今日では「導入したが使われない」,「eポートフォリオ活用の普及の仕方は?」などのeポートフォリオ活用と普及の難しさと解決策へと話題が移ってきた.

いかにeポートフォリオを活用し普及するか

 eポートフォリオシステムを導入した機関からはこんな声が聞こえてくる.

 大学機関においてeポートフォリオを本格的に活用し始めたのはここ数年のことであり,継続的に取り組み成果を上げ,その効果を明らかにした大学は数少ない. 多くの大学が,先行事例を(だた)真似て実装し,そして失敗している.そもそも大学機関は,建学の精神や掲げる各種ポリシーが異なり,その大学の構成・規模や人的環境だけでなく,それらを取り巻く文化も異なる.当然,行われるべき教育内容や方法は大学による独自なものがあって然るべきである.

 つまり,eポートフォリオシステムを単に導入するだけではダメなのである."eポートフォリオシステムを導入したらeポートフォリオシステムがなんとかしてくれる"という上手い話はないのだ.

 eポートフォリオがうまく活用されていない理由をまとめると次の4つに集約できる.

  1. 理由①:eポートフォリオを導入し活用する目的が明確でない
  2. 理由②:eポートフォリオに関する本質的な理解が乏しい
  3. 理由③:利用者に対する支援が不足している
  4. 理由④:eポートフォリオ活用の理解者・実践者によるコミュニティ形成がされていない

 これらの理由それぞれに対する要件①〜要件④を、次節から説明する.